『君ニ問フ』を立ち上げ1年が経ちました。

このサイトをご覧くださっている皆さん、ありがとうございます。
そして、インタビュー、対談、鼎談、イベントにご協力してくださった方々にも感謝申し上げます。

 

いくつもの収穫と課題を得た1年でした。

一番の収穫は〈誤配〉です。
アーティストが出ている『君ニ問フ』の対談・鼎談の記事やイベントで、学者や政治家やジャーナリストの話をうっかり読んでしまう、聞いてしまう、そんな〈誤配〉を生み出したのではないかと思います。
そうした〈誤配〉を生むことが『君ニ問フ』のミッションの1つだと認識するようになりました。

一方で、この1年、コロナ禍でたくさんの社会問題が浮き彫りになりました。
人類の愚行のツケとも言えるような問題が山積みになっていたところに、コロナ禍でさらに問題が山積みになりました。

メディア立ち上げの際、さらに今年の年始の挨拶にも書きましたが、社会問題を解決していくために立ち上げたのが『君ニ問フ』です。
その意味では、『君ニ問フ』が本領を発揮すべきタイミングです。

ただ、もともと社会問題に興味を持っている人はすでに社会問題を扱うメディアに頻繁にアクセスをしていて、そこで社会問題を声高に叫んでも〝エコーチェンバー〟状態です。

問題を解決していくのに必要なのは、関心がない人に関心を持ってもらうこと、です。
そのための〈誤配〉です。

では、そもそもなぜ社会問題に興味がない人が多いのか?
端的に言えば、なぜ選挙の投票率が低いのか?
一概には言えませんが、〈社会は変わらない〉と諦めている人が多いのがその根本だと思います。
この諦めている人たちの意識を変えていかないと〝エコーチェンバー〟からは抜け出せません。
これが大きな課題です。

 

話は変わりますが、東京オペラシティ アートギャラリーで開催されている1984年生まれの若手アーティスト・加藤翼による展示『縄張りと島』を観ました。
これまで知らなかったアーティストで、なんの前知識もなく展示を観ました。
世界のあちこちで巨大な建造物を人が縄を付けて引っ張り、その建造物を倒すインスタレーションがいくつも映像で映し出されていました。
なんだかハッとしました。
単純な僕はこう思いました。「人が作り出したものは、必ずや人の手で壊すことができる」と。(しかも人力で建造物を倒すインスタレーションを84年生まれ=30代のアーティストがやっているのにも希望を感じました)

私たちの社会が抱える問題のほとんどは人類が作り出したものです。
一人二人の力ではどうにもなりませんが、『縄張りと島』で観たインスタレーションのように大勢の人が参加すれば、ものごとは動くのです。
そう思ったら、コロナ禍はカオスではあるけれど、リモートワークや時短により生活に時間が出来た人が増え、多くの人が社会や世界の動向に注目している今はチャンスなんだと思いました。

ここから1年はその縄を引く人を増やすべく、大いなる〈誤配〉を生んでいこうと思っています。


2021年8月19日  『君ニ問フ』編集長 ジョー横溝